旋盤工なら取得すべき【機械加工技能士】ってどんな資格？

2022年11月10日公開

本記事は次のような悩みを抱える方向けの内容です。

・旋盤工がスキルアップを目指すにはどうしたらいい？

・機械加工技能士の試験内容や受験条件は？

・旋盤工に関心があり、仕事内容や年収について知りたい！

旋盤工は金属を加工して製品をつくるプロフェッショナル、いわば「モノづくり職人」です。

旋盤工がスキルを磨き、年収をアップさせるには何が必要なのでしょうか。

本記事では、旋盤工についてや、旋盤工のスキルアップにおすすめする機械加工技能士の資格について解説します。

向いている人の特徴などについても解説していますので、旋盤工の仕事に興味のある人はぜひ参考にしてください。

旋盤工とは?

旋盤工とは、旋盤を利用して金属を加工する職人のことです。

ここでは、旋盤工の仕事内容、平均年収や時給、資格の有無を解説します。

仕事内容

旋盤工は、金属の加工工場や金属・部品メーカーで、「旋盤」と呼ばれる機械を用いて金属を加工する高度な技術を要する職人です。

たとえば、金属材料の外形を削ってネジをつくったり、航空機や自動車の製造に必要なボルトを作成したりします。

旋盤工の経験を積めば、マイクロメートル単位の高精度な技術を要する作業に携わるケースもあります。

平均年収・時給・給料

旋盤工の平均年収は350万円ほどで全国の平均年収と比べると少ない傾向です。

また、旋盤工の時給相場は1,200〜1,600円程度と少し幅があり、人手不足で悩む金属加工工場や高度な技術を要する仕事をメインとする企業ほど時給が高い傾向にあります。

参考：求人ボックス「給料ナビ」

旋盤工の給料は、技術を磨き経験を積めば、年収500万円以上も目指せるため、技術を身に付け収入もアップさせたい人におすすめの仕事といえるでしょう。

資格は必要？

旋盤工になるために必要な資格はありません。

旋盤工は、モノづくりで人を笑顔にしたい方や情熱や誇りをもって仕事に向き合える方なら、どなたでも目指せます。

もちろん、旋盤工になった後は特殊な技術や専門用語を覚えるための勉強が必要です。

次項では、旋盤工を目指すなら取っておきたい資格について紹介します。

旋盤工の仕事に役立つ資格「機械加工技能士」とは？

旋盤工になるために必須の資格はないと、紹介しましたが、取っておくと役立つ資格は存在しています。

その資格とは、「機械加工技能士」です。

ここからは、機械加工技能士や機械加工技能検定について紹介していきます。

資格試験の概要

機械加工技能検定は、旋盤工のスペシャリストであると証明できる機械加工技能士(国家資格)の資格を取得するための試験です。

実務経験や機械加工技能士の取得状況に応じて、難易度の低い検定から順に3級〜1級、特級の4段階の試験があります。

各級の技能レベルは下記のとおりです。

・3級は初心者レベル

・2級は中級者レベル

・1級は上級者レベル

・特級は管理者レベル

機械加工技能士になるには、年2回ずつ実施される学科試験と実技試験に合格しなくてはなりません。

担当している作業によって選択科目が変わる

機械加工技能検定は、共通科目と選択科目があります。

学科試験では、下記のような専門的な知識があるか否かをチェックされることがこれまでの傾向です。

・機械工作法や材料力学(共通項目)

・数値制御フライス盤作業や平面研削旋盤作業(選択科目)

など

たとえば、ブローチ盤作業を担当している方は「ブローチ盤加工法」を選択科目とし、円筒研削盤やボブ盤を扱っている方は「研削盤加工法」がテスト項目となります。

実技試験は制限時間内で部品の製造や作業課題をクリアできる能力が求められ、下記の内容で試験が行われます。

・製作等作業試験

・計画立案等作業試験

3級以外は実務経験が必要

機械加工技能士は各階級に受験資格が設けられています。

しかし、3級だけはとくに資格は必要ありません。

各階級の受験資格は下記のとおりです。

・3級：受験資格の制限なし

・2級：実務経験2年以上

・1級：実務経験7年以上

・特級：1級合格者かつ5年以上の実務経験者

機械加工技能検定は3級をのぞき受験資格に制限があります。

受験資格をクリアした方であれば、どなたでも機械加工技能検定を受けられますが、学歴によって実務経験の有無を問わないケースや、1級の受験に必要な実務経験年数が変わるなど、少しわかりにくい点があることには注意が必要です。

機械加工技能検定の最新情報を知りたい方や疑問点を確認したい方は、各都道府県の職業能力開発協会へ問い合わせてみてください。

合格率は？

機械加工技能士の各級の合格率は下記のとおりです。

※データは令和3年度のものになります。

・3級：70.2％

・2級：57.7％

・1級：57％

・特級：43.8％

機械加工技能検定の合格率は受験する級により異なりますが、50〜70％ほどです。

比較的合格をしやすい試験と考えられ、さらには取得できれば現場で重宝されるだけでなく、キャリアアップにもつながるため、ぜひ合格を目指しましょう。

旋盤工に向いている人の特徴4選

旋盤工に向いている人の特徴を4つ紹介します。

主な特徴は下記のとおりです。

・手先が器用な人

・論理的思考ができる人

・空間認識力が高い人

・完璧主義の人

1つでも該当すれば、旋盤工の仕事内容にマッチする可能性があるため、チャレンジしてみましょう。

それぞれ解説します。

①手先が器用な人

旋盤工は、機械では実現できない細かい作業で製品を完成させるケースもあるため、手先の器用さが求められます。

たとえば、特注の型や部品を依頼された場合、汎用旋盤を用いれば製品の大部分は完成しますが、最終工程は旋盤工が仕上げることが一般的です。

作成する製品には精密さも求められるため、器用な方のほうが作業をスムーズに行いやすいといえるでしょう。

ただし、器用さに関係なく一人前になるのは、相応の修行時間が必要です。

そのため、器用でない人でもしっかりと修行を詰めば問題なく業務を行えるため、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。

②論理的思考ができる人

旋盤工は、どの手法を用いてどの加工機を使えば求められた製品が完成するかを、事前に予測して作業に入ります。

ミスが発生した時には「なぜ理想の製品ができなかったのか」「今後ミスをしないためにどう工夫するか」を考えるのも旋盤工の仕事のひとつです。

そのため、論理的思考がないと「ただ仕事をこなすだけ」になり、なかなかスキルアップにつながらないなどの影響があることも考えられるでしょう。

③空間認識力が高い人

空間認識力とは、物体の位置や方向、大きさなどを正確に判断する能力です。

わかりやすい例を挙げると、向かってきている車に衝突しないよう、車の大きさや位置、距離などを判断し、ブレーキを踏む能力が空間認識力です。

旋盤工は、金属を加工機や独自の技術を用いて特定の型・部品を製造するため、完成した製品を頭の中で予測してから作業する能力が求められます。

イメージがしっかりできていないと、実際に作業を行った際に、研磨しすぎてしまったり微調整が多く発生してしまったりするため、空間認識力も求められる仕事といえます。

④完璧主義の人

旋盤工は依頼どおりの製品をつくる仕事なので、完璧主義の方、言い換えれば、何事にも手を抜かない方が向いているといえます。

また、納期までに完璧な製品をつくるスピード感も大切です。

どの仕事にも当てはまることではありますが、納期をしっかり守り、依頼どおりの品を作れるよう完璧を求められる人が向いているといえるでしょう。

旋盤工の将来性は明るい？

旋盤工の将来性は明るいと考えてよいでしょう。

なぜなら、旋盤工が手がける製品が日本のモノづくりの基盤となっているためです。

しかし、AIロボットの普及や機械の品質向上によって、人間の手を使わなくてもできる作業内容が増える可能性は想定できます。

旋盤工の仕事が完全になくなるとは考えにくいですが、場合によっては人手を削り優秀な人材のみをターゲットとした雇用となる可能性もゼロではないでしょう。

機械加工技能士は旋盤工の仕事と関連が深い国家資格です。

ご自身のスキルを証明する資格でもあるため、旋盤工に興味のある方はぜひ取得を目指しましょう。

旋盤の手法と旋盤加工機について

旋盤の手法(加工)には、回転中の対象物に外側からバイト（切断工具のこと）を当てて外形を加工する「外径加工」や、ねじ山をつくる「ねじり切り加工」などの技術方法があります。

旋盤工として仕事するためには技術を覚え、その技術を磨く必要があるのはもちろん、つくりたい製品の形状に合わせて最適な加工機を選ぶ能力も必要です。

ここからは、旋盤加工で用いられる代表的な加工機を2つ紹介します。

汎用旋盤

汎用旋盤は普通旋盤とも呼ばれ、次の4つの主要部品で構成されています。

・ベッド(機械の土台)

・主軸台(加工物を回転させる部分)

・刃物台(加工したい形状に整える部分)

・心押し台(長尺加工物をサポートする部分)

汎用旋盤を用いるケースは、単品や特注の加工が一般的です。

汎用旋盤の場合、旋盤工が手作業で製品を完成させるため手間と時間を要しますが、製作ミスに気づきやすいといったメリットがあります。

日常生活で旋盤加工機をみる機会はほとんどありませんが、勤務すると旋盤を用いて製品を完成させる必要があるため、旋盤工の仕事に関心がある方は名称だけでも覚えておくと役立ちますよ。

NC旋盤

NC旋盤は汎用旋盤の主要部品に次の3つを付属した旋盤加工機です。

・NC装置(プログラム認識・機械への指令)

・操作盤(旋盤工がNC装置に指令を送る盤面)

・サーボモータ(装置を動かすモータ)

NC旋盤は汎用旋盤よりも高精度な加工をスムーズに実現できる点で優れている一方、作業の微調整が難しくミスが発生すると修正に時間を要します。

しかし、旋盤工がNC装置へ指令をだしてプログラムに認識させれば、同一商品の大量発注も可能になるため、多くの部品を必要とする大手自動車メーカーや航空会社と契約している中小企業の大半が、NC旋盤加工機を取り入れています。

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旋盤工になるためには必須の資格はありませんが、機械加工技能士の取得はおすすめです。

周りの旋盤工と差をつけるためにも、できるだけ上位の階級の資格取得を目指してください。

資格を取得していることで、昇給につながるだけでなく、転職などの際にも旋盤工として就職しやすくなりますよ。

また、機械加工技能士の資格を取得した後に、旋盤工の仕事を探したいと考えている方は、ぜひ当サイト「寮付き求人.com」を活用してみてください。

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