無期雇用派遣って何?無期雇用派遣になる条件からそのメリットまで解説!
2023年03月15日公開 2023年08月22日更新

目次
派遣社員にもいくつか種類がありますが、一般派遣と無期雇用派遣、もしくは無期派遣雇用と正社員のちがいはとても複雑です。
今回の記事では、安定して働ける無期派遣雇用について、雇用内容や条件などの基本的な知識を確認した上で、どんなメリット・デメリットがあるのかを解説します。
無期派遣雇用になれるチャンスがあってどうするか迷っている人は、今後の方向性を決める参考にしてみてください。
派遣社員は雇用期間によって2種類に分けられる
まず、派遣社員には雇用期間によって2種類あることを確認しておきましょう。
「登録型派遣」が、一般的にイメージされるような派遣会社に登録して、派遣先で勤務している間だけ給与が発生する形。
そして、派遣している間だけでなく常時雇用される契約の場合には「常用型派遣」となります。
この常用型派遣の別名が無期雇用派遣です。
この2種類のちがいをより良く理解するためには、「派遣3年ルール」と「無期転換ルール(派遣5年ルール)」という2つのルールについて確認する必要があります。
【派遣の種類の違いを決める2つのルール】
・派遣3年ルールとは?-登録型派遣
・無期転換ルール(5年ルール)とは?-常用型派遣(無期雇用派遣)
派遣3年ルールとは?
「派遣3年ルール」とは、派遣社員は同じ職場で3年より長く働き続けることはできないというルールです。
このルールは2015年の労働者派遣法の改正によってできたもので、事業所の受け入れに関する事業所単位での期間制限と派遣スタッフ側の期間制限という2つの側面があります。
派遣3年ルールの「抵触日」とは?
「派遣先事業所単位の期間制限」は、事業所が派遣社員を受け入れられるのは3年までと定めるものです。
最初に受け入れたスタッフが3年働いた場合、その後新たに派遣スタッフを雇うことはできません。
ただし、労働組合の賛成などの条件付きで期間を延長することは可能です。
一方、労働者側に課された「派遣労働者個人単位の期間制限」は、派遣先の同一組織内で就業できるのは3年までと定めるものです。
この場合の派遣先は組織単位となるため、同じ会社内の他の課であれば3年以上就業することも可能です。
画像出典元:『平成27年労働者派遣法 改正法の概要』厚生労働省・都道府県労働局』
派遣3年ルールの「例外」とは?
派遣3年ルールには例外があり、上述したような「課の異動」以外にも3年を超えても同じ派遣先で働くことができる条件があります。
たとえば、以下のような場合には3年を超えて雇用されていても事業者側・スタッフ側共に違法ではありません。
・派遣元と無期雇用派遣契約を結んでいる場合
・受け入れから3年目の時点で60歳以上の場合
・高度専門職で3年以上のプロジェクトに携わっている場合
・産休や育休、介護休暇などを取得する人の代わりに派遣されている場合
無期転換ルール(5年ルール)とは?
無期転換ルール(5年ルール)は、労働契約法第18条で定められている「有期労働契約が5年を超えた場合、労働者側の申し込みで有期雇用を無期雇用に転用できる」というルールです。
労働者側にとって不利になるような不当な契約更新終了を防止するためにつくられました。
また、このルールは、派遣スタッフだけでなく契約社員やアルバイト、パートなど全ての有期契約労働者が対象となります。
無期転換の申し込み条件
派遣スタッフが無期転換に申し込めるようになる条件は、以下の通りです。
【無期転換の申し込み条件】
・同じ派遣会社で通算5年以上働く
・契約更新回数が1回以上
・労働者自らが申し込みをする
注意が必要なのは、「通算5年以上」が契約している期間ということです。
たとえ5年以上同じ派遣会社に登録していたとしても、派遣先で働いていた期間が5年に満たない場合は対象外となります。
無期転換の申し込み権利が発生するタイミング
1年契約で更新を繰り返している場合と3年契約の場合では、申し込み権利が発生するタイミングが異なります。
1年更新の場合は、5年目の契約が終了し次の契約を更新した時点から権利が発生、3年の場合は契約期間中に5年を超える契約を更新した時点から申し込み権利が発生します。
また、前述した「3年ルールの例外」で5年以上契約する場合は1年契約と同様、5年終了後の次の契約更新の時点が権利発生のタイミングとなります。
画像出典元:「厚生労働省 無期限労働契約への転換」
労働者側から無期転換の申し込みがあった場合に事業者側が断ることができません。
ただし、有期雇用で5年以上働いたからといって無期雇用に自動で切り替わるわけではなく、事業者側から労働者に対して無期転換に関する説明義務もありません。
そのため、派遣スタッフ自身が申し込み権利が発生するタイミングを把握しておく必要があります。
「無期雇用派遣」とは?
「無期雇用派遣」とは、無期転換ルール(5年ルール)で働く派遣社員のことです。
ここでは、通常の登録型派遣との違い、正社員との違いに分けて紹介します。
【「無期雇用派遣」について】
・登録型派遣との違い-より安定した働き方に
・正社員との違い-雇用条件は必ずしも同じじゃない
無期雇用になった女性の体験談を紹介しています。周囲に無期雇用の人が居なくて不安を感じている人は、ぜひ読んでみてください。「無理なく長く働ける「無期雇用」という選択肢」
登録型派遣との違い
登録型派遣と無期雇用派遣の主な違いは、雇用契約期間と給与形態の2つです。
〇雇用契約期間
登録型派遣:派遣先で就業開始から契約満了日まで
無期雇用派遣:雇用契約期間の定めがないので、派遣先のない空白期間も給料が支払われる
〇給与形態
登録型派遣:月給制
無期雇用派遣:時給制
また、派遣と混同される雇用形態に出向があります。
出向の場合も派遣のように就業先と契約先が異なる場合はありますが、労働条件や契約期間には異なっています。
詳しくはこちらの記事「派遣と出向はどう違う?契約の違いなどを解説」をお読みください。
正社員との違い
正社員と無期雇用派遣の主な違いは、雇用契約先です。
〇雇用契約先
正社員:派遣先の企業
無期雇用派遣:派遣元の企業
無期雇用派遣スタッフも正社員と同様に契約期間の定めなく、長ければ定年まで働くことが可能です。
ですが、契約先はあくまでも派遣元の派遣会社となるため、正社員なら当然受けられる就業先企業による福利厚生なども受けられません。
また、派遣元企業との契約が切れた場合、派遣先では就業できなくなります。
やはり正社員の方が安定した働き方ができるのは確実です。
正社員を目指すべきかどうか迷っている人は「派遣から正社員に転職するのは大変?」を読んで今後の見通しを立てるのにいかしてください。
無期雇用派遣で働くメリット
つづいて、無期雇用派遣で働くメリットについて解説します。
【無期雇用で働くメリット】
・3年を超えても同じ職場で働ける
・派遣元が次の雇用を保証してくれる
・年齢を気にせず安心して働ける
・収入が安定する
・中長期的な視点でキャリアアップできる
無期雇用を含め、3カ月以上の派遣を長期派遣といいます。
長期派遣のメリットやどんな職種に長期派遣が多いのかについては、こちらの記事「長期派遣で実際に働く期間はどれくらい?長期派遣のメリットなども解説」で紹介しています。
3年を超えても同じ職場で働ける
登録型派遣の場合には、どんなに仕事を覚えて職場に馴染んだとしても3年以上同じ職場で働くことはできません。
その点、無期雇用になれば3年ルールの特例となり、派遣元と派遣先の契約が終了しない限りは同じ職場で働くことが可能。
職場を変えるストレスや手間がなくなるのは無期雇用の大きなメリットです。
派遣元が次の雇用を保証してくれる
無期雇用になれば、派遣元企業との結びつきもより強いものになります。
仮に派遣先で就業できなくなったとしても、それを理由に派遣元が解雇することはできません。
派遣元が毎月の給与や次の雇用を保証してくれるため、派遣がない空白期間であっても安心して過ごすことができます。
2020年頃からの感染症の影響による派遣社員の不当解雇が再び取沙汰されています。
契約先である派遣元会社との向き合い方についてもっと詳しく知りたい人は、こちらの記事「立場が弱い?「派遣切り」の実態や、対処方法」を参考にしてください。
年齢を気にせず安心して働ける
通常の派遣は、年齢とともに新しい働き口を探すのが難しくなります。
ですが、無期雇用派遣なら派遣元がバックアップしてくれるため、求職もしやすくなり、年齢を理由にした派遣終了の不安から解消されます。
実際に40代、50代の人であっても派遣スタッフとして活躍している現場は多数あり、派遣元企業ではそうした現場状況を元に安心して働ける職場を紹介してくれます。
具体的にどんな職種が向いているのかなどは、こちらの記事(「50代の派遣スタッフ多数活躍中!人気の倉庫内作業」)を参考にしてください。
また、寮付き求人では、年代別に最適な職場を提案できるようにシステムを整えています。
年齢を理由に派遣で働くことに躊躇っている人は、ぜひ一度希望条件で検索してみてください。
収入が安定する
無期雇用の場合、派遣元から毎月決まった給与が支払われる月給制となります。
そのため、登録型派遣の「仕事が途切れる=収入がなくなる」という不安定な状態と比べると、収入が安定。
安心して生活を送ることができます。
中長期的な視点でキャリアアップできる
無期雇用は社員側にもメリットがある一方で、派遣会社にとっても大事な戦力となります。
昇給制度などを設けている場合も多く、正社員同様に中長期的な視点でのキャリアアップを目指すことができるのも無期雇用の大きなメリットです。
また、長期で働いてもらえると分かっているからこそ、スキルアップ研修や講習といったサポートにも時間や費用をかけてくれるようになります。
無期雇用派遣で働くデメリット
ここまで無期雇用派遣で働くメリットを紹介してきましたが、無期雇用に転換することで生じるデメリットもあります。
転換後に後悔しないよう、無期雇用のデメリットについてもしっかり把握しておきましょう。
【無期雇用派遣で働くデメリット】
・派遣先が変更になる可能性がある
・派遣先を自分で自由に選べない
・就業規則がが厳しくなって自由がなくなる
・雇用が保証されても正社員ではない
派遣先が変更になる可能性がある
無期雇用派遣になったとしても、派遣社員としての自由度が上がるわけではありません。
派遣元の指示によって派遣先が変更になる可能性もあり、必ずしも同じ職場で働きつづけられるわけではありません。
企業の社員となって働く、という正社員とは異なる働き方であることは理解しておきましょう。
派遣先を自分で自由に選べない
派遣先を自分で自由に選ぶことができないという点も、登録型派遣と同じです。
また、登録型派遣の3年ルールがないために、長く働きたくない職場で働き続けなくてはならない可能性もあります。
ただし、社員の希望をある程度考慮して派遣先を変更させてくれる場合もあるため、気兼ねなく相談ができるように派遣会社との信頼関係も大切にしてください。
就業規則が厳しくなって自由がなくなる
無期雇用はあくまでも契約期間に関する契約のため、必ずしも登録型派遣の時と比べて労働条件が有利になるとは限りません。
むしろ、登録型と比べて就業規則が厳しくなり、場合によっては転勤や職種変更を命じられることも。
また、就業期間のみ給与が払われる登録型と比べて長期休暇などはとりづらくなります。
雇用が保証されても正社員ではない
雇用が保証され収入も安定するため正社員と遜色ないように思えますが、契約期間が無期になるだけで、あくまでも働き方は派遣社員のままです。
就業先の会社の中では「派遣社員」として扱われることに変わりはなく、かえって正社員登用されるのが難しくなる場合もあることに注意が必要です。
無期雇用派遣になる方法
最後に、無期雇用派遣になる方法を簡単に説明します。
無期雇用派遣にはデメリットもありますが、登録型派遣に比べると収入が安定するなどメリットの方が多いのは間違いありません。
今後も働き続けたいと思えるような、信頼できる派遣会社であればぜひ無期雇用派遣を目指してみてください。
・登録型派遣で通算5年を超えたら自分で申し込む
・無期雇用派遣を募集している派遣会社と契約する
登録型派遣で通算5年を超えたら自分で申し込む
無期雇用派遣に転換するには条件がありますが、条件を満たしたからといって登録型から無期雇用へと自動で切り替わるわけではないことに注意しましょう。
まずは、条件を満たした時点で「自分で申し込む」という手続きなしには無期雇用になることはできません。
申し込みは口頭と書面どちらでも構いませんが、その後のトラブルを避けるためにも書面でおこなうことが推奨されています。
無期雇用派遣を募集している派遣会社と契約する
すべての派遣会社が無期雇用派遣をサポートしている訳ではなく、派遣会社の中にはあえて無期雇用に関する説明を避ける場合も多いです。
逆に、無期雇用派遣を積極的に募集しているような派遣会社であれば、最初の登録時点から無期雇用の転換について相談に乗ってくれる場合も。
労働者と派遣会社の双方の考えが一致していれば、希望に反した契約終了のリスクを最初から回避することができます。
寮付き.comの検索で「無期雇用」というキーワードで検索することで、無期雇用派遣を募集している派遣会社を効率的に探すことが可能。
無期雇用を目指して求職活動をしている人はぜひ活用してください。
まとめ:無期雇用派遣を目指すなら寮付き求人.comを活用しよう!
無期雇用派遣は、通常の登録型派遣とは契約期間が異なり、派遣であっても安定した収入が確保できるという大きなメリットがあります。
派遣=一時的な仕事というイメージとは、まったくちがった働き方が可能なのが無期雇用派遣です。
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すぐに働けるというだけでなく、派遣であっても長期で働き続けたいという意思のある人は、寮付き求人.comをどんどん活用し、安心して長く働き続けられる職場を探してみてください。