派遣社員は厚生年金に加入する?しない?国民年金との違いと加入条件を解説
2022年05月05日公開 2022年06月15日更新

目次
「派遣社員は厚生年金に加入できる?」「加入するには条件がある?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか?
老後のことも考えると、国民年金だけでなく厚生年金にも加入しておき受給される金額を多くしたいですよね。ただ、毎月の支払額も増えるため、加入せず働ける場所を探している方もいるのではないでしょうか?
この記事では、派遣社員は厚生年金に入れるのかや、加入する条件、加入した場合の受給額について解説しています。
今現在、仕事を探している方、これから仕事を探そうと考えている方はぜひ参考にしてください。
派遣社員でも厚生年金に加入できる?
派遣社員でも厚生年金に加入することは可能です。
厚生年金など社会保障加入の対象となるのは雇用形態ではなく、加入条件を満たしていることが加入の対象となります。
そのため、派遣社員が厚生年金に加入する場合は派遣会社を通して手続きを行い、派遣会社は派遣社員の給与の他に厚生年金の保険料を支払わなければいけません。
また、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、雇用契約期間が2か月を超える場合には、社会保険の被保険者となります。
一方、派遣会社との雇用契約期間が、2か月以内の場合には、厚生年金加入の対象外となるため厚生年金への加入はできません。
ただし、雇用契約期間が2か月以内でも同じ会社で継続して働き、雇用契約を更新する場合には、厚生年金加入の対象となり保険料を支払うことになります。
これらの雇用契約期間の条件に対して、派遣社員で働く場合のメリットに、雇用期間の仕組みが異なる2つの派遣スタイル「無期雇用派遣」または「登録型派遣」があります。
無期雇用派遣であれば、厚生年金加入の条件をクリアできる働き方のため、雇用や給与の安定と老後のサポートを受けられる派遣スタイルです。
一方、厚生年金加入を希望しない場合には、登録型派遣スタイルの派遣会社で働くことが検討できます。
【無期雇用派遣】
派遣会社と派遣社員の間で無期限の雇用契約を結ぶスタイル。
働き始めてすぐに厚生年金保険に加入できるメリットがある。
【登録型派遣】
派遣社員が派遣先に勤務している期間だけ雇用契約を結ぶスタイル。
派遣先が決まらなければ待期期間となり、厚生年金加入の条件に満たない場合もある。
派遣社員として働く場合には、派遣スタイルに合わせて、雇用契約期間や年収額が厚生年金の加入条件に適用されるかを確認しておきましょう。
派遣社員が厚生年金に加入するための条件は?
派遣社員が厚生年金に加入する場合には、以下の条件を満たすことが必要です。
加入条件は、雇用契約期間/労働時間/給与月額等によって定められています。
派遣社員の場合、各個人によって労働環境は異なりますので、ご自分の雇用条件に合わせて加入の可否を確認するとよいでしょう。
【厚生年金加入の条件】
・雇用契約の期間が2か月以上、または2か月以上の予定である
・雇用契約による1週間の労働時間が、正社員の3/4以上である
・雇用契約による1か月の労働日数が、正社員の3/4以上である
ただし、上記の条件を満たさない場合でも、以下の条件をクリアした場合は、厚生年金に加入することが可能です。
・1週間の労働時間が20時間以上であること
・給与月額が8万8000円以上であること(※割増賃金、賞与、臨時手当等は除外)
・雇用期間が1年以上予定されていること
・学生ではないこと
・常時501人以上の企業に雇用されていること
そもそも国民年金と厚生年金の違いとは?
厚生年金の加入条件について概要がわかったら、国民年金についても知っておきましょう。
日本の公的年金には2種類、厚生年金と国民年金があります。
20歳から60歳までの人が加入する国民年金と、会社勤めの人が加入する厚生年金の「2階建て」の仕組みです。
国民年金が1階部分、厚生年金は、国民年金の受給額に上乗せする形の2階部分に相当します。
なお、国民年金の場合、低所得者に対して保険料の免除を受けることが可能です。
下記の厚生年金と国民年金の表を参考に、ご自分の働き方がどの条件に該当するか確認するとよいでしょう。
派遣社員で厚生年金に加入した場合いくら払わないといけない?
厚生年金の保険料は、給与額によって異なります。
保険料額は、標準報酬月額、標準賞与額に保険料率を掛けた額で計算します。
【算出方法】
・月給に対する保険料= 標準報酬月額 × 18.3%
・賞与に対する保険料= 標準賞与額 × 18.3%
例)
標準報酬月額が30万円の場合では、その18.3%は54,900円となり、会社と加入者が労使折半で27,450円ずつ負担し支払うことになります。
賞与に対する保険料も同様に労使折半で支払います。
※標準報酬月額について:原則として4月~6月の3か月間の給与報酬の平均額から算出した金額。
※標準賞与額について:受け取った賞与の金額の1,000未満の端数を切り捨てた金額。
※労使折半について:厚生年金の保険料を会社が半分、加入者が半分負担をすること。給与明細に記されている納入額の倍額が厚生年金保険料となる。
厚生年金保険に加入すると、保険料の金額が国民年金の納入額(16,590円)よりも増えるため低所得者の場合、負担がかかることが懸念されます。
ただし、公的年金の加入の目的をあらためて考えてみると、将来的に高齢者となった時に働けなくなる、病気やケガへの対応、不慮の事故や死亡となった場合を想定すると、国民年金の納入額に上乗せする厚生年金保険料の支払いは、メリットとして考えられるでしょう。
派遣社員の年金受給額の見込額は?
厚生年金保険に加入した人が受け取れる年金を「老齢厚生年金」と言い、加入期間に対して年金額が計算され、原則的には65歳から受給が可能です。
厚生労働省が公表する「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均支給月額は、厚生年金+国民年金と合わせて、以下の平均受給額となっています。
・国民全員が受け取れる老齢基礎年金の平均受給額:56,049円(月額)
・老齢厚生年金と合計した合計受給額の平均受給額:146,162円
老齢基礎年金の受給額は、保険料から計算され40年間支払い続けた場合、受給見込み額は年間で約78万円です。
また、具体的な受給見込み額の算出は、納めた金額、納入期間、職業、受給開始年齢など、個人差によって異なります。
詳しい見込み額を知りたい場合は、日本年金機構のWebサイトより年金見込額試算を確認してみてください。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/sonota/20140714.html#cms01(日本年金機構:年金見込額試算)
また、老齢厚生年金には「繰上げ受給」や「繰下げ受給」の制度があり、早く年金を受け取りたい場合、または受給を遅らせてもよい場合などに活用できます。
【繰上げ受給の条件】
・65歳より早く受け取ることができる
・減額率(最大24%) = 1月あたり0.4%
・例) 62 歳に繰上げた場合、年金額が18%(=0.5%×36か月)減額される
【繰下げ受給の条件】
・66歳以降に受け取ることができる
・増額率 (最大84%)=1月あたり0.7%
・例)68歳に繰下げた場合、年金額25.2%(=0.7%×36か月)増額される
厚生年金に加入せず派遣社員を続けることはできる?
では、派遣社員で厚生年金に加入したくない人はどうしたらよいのでしょうか?
その方法は、厚生年金加入の条件に適用されない働き方をすることです。
この場合、労働時間を抑える、または年収額を調整する等が挙げられます。
派遣社員の場合は、選ぶ派遣会社のスタイルによっても働き方を変えることも可能ですので、下記で紹介するような働き方ができる派遣会社か事前に確認をしておきましょう。
労働時間を抑える
厚生年金の加入は一定の条件を満たした場合、加入の義務が科せられます。
そのため、もし加入したくないのであれば、短時間労働で調整することは可能です。
加入条件をもう一度確認してみると、
・1週間の労働時間が、正社員の3/4以上である
・1か月の労働日数が、正社員の3/4以上である
・1週間の労働時間は20時間以上
となっています。
これらの条件に適用しない労働時間で働くことが、厚生年金を支払わなくてもよい方法です。
例えば、2か月以内の短期雇用や日雇い派遣、季節労働など期間限定の仕事で働く方法が考えられます。
派遣社員の場合は、雇用契約のスタイルが「無期雇用派遣」ではなく「登録型派遣」であれば、雇用契約期間を調整・相談できる可能性があるため厚生年金加入の適用外となる場合もあります。
年収額を調整する
厚生年金の加入においては、年収額によっても加入の可否が変わります。
厚生年金保険に加入する配偶者の扶養に入っている場合、年間の給与所得が130万円を超えると扶養から外れるため厚生年金へ加入しなければいけません。
130万円を超えた場合、会社員や公務員は「第2号被保険者」へ、自営業の人は「第1号被保険者」となり新たに国民年金に加入し、「第2号被保険者」の場合は保険料の金額が変わります。
よって、配偶者の扶養に入っており、働いている人にとっては、収入額の差で保険料の金額が変わりますので、「130万の壁」は、気を付けましょう。
派遣会社と雇用契約する際には、厚生年金に加入するかどうかを相談してから働き始めることをおすすめいたします。
派遣社員でも労働条件次第で厚生年金に加入できる
派遣社員が、厚生年金に加入する場合の条件や受給額、国民年金との違いなど解説いたしました。
派遣社員は、厚生年金加入の条件に該当した場合には、派遣会社と労使折半で保険料を支払うこととなります。
もし厚生年金に加入したくない場合には、派遣会社の契約スタイルで選択することや年収額の調整、加入条件に適用されない働き方をすることが必要です。
そのため、お仕事を探す際は事前に厚生年金への加入をどうするか決めた上でお仕事を探しましょう。
また、これからお仕事を探す予定の方はぜひ「寮付き求人.com」を活用してみてください。
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